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2014年1月

高知新聞連載 (地球・美の幻風景) ~光の道~ 純白の煌めきの中で 

     1月22日・高知新聞朝刊 水曜ミュージアム

    地球・美の幻風景  桐野伴秋の世界

 

 
Photo


              ~光の道~  純白の煌きの中で

  空一面もたれかかったような雲に、
  翌日の雪を予想して、高知県西部へ、
  まだ暗いうちから車を走らせた。
  四万十川へ向かうこの道は魅力的な風景に
  彩られている。
  私は窓の外の景色を惜しみ、
  見送りながらアクセルを踏んだ。
  土佐佐賀のトンネルを抜けると、
  左側にいっきに海が開けて来る。
  とても気持ちのいいドライブコースだ。
  夜が白み始め、白浜海岸には
  積雪の様子がぼんやりと見え出した。
  寒さに震えながらも私は一度車を止め、
  いそいそとカメラと三脚を持ち出した。
  まだ、だれの足跡もついていない、雪の上をそっと歩く。
  靴の下できゅっきゅっと雪がきしみ、
  予想以上の大きな足跡がついた。
  申し訳ない気持ちと、面白さが混じり、
  どんどんと浜へ向かって進んでは、
  そっと振り返って
  自分の付けた足跡を確かめてみた。
  そんな遊び心を楽しみながら、
  浜へ下り、私は歓声を挙げた。
  水と砂が描き上げた、美しい曲線が海に続き、
  水晶を集めたような純白の雪の上を
  冷たい空気が撫でるように流れていく。
   砂浜に立ちシャッターを押す私の前を
 
   ゆっくりと時間が流れ、夜が明けてゆく。
   静まり返った情景の中、
   まるで、一体の像のように
   私の姿は映るかもしれない。
   太陽は雲間に隠れていたが、
  ―瞬光のシャワーを浴びて、
  朝の世界は輝きを増した。
  大きくタクトを振られ、一日のはじまりが、
  今、放たれようとしている瞬間だ。
  どこに隠れていたのか、
  小鳥達が一斉に
  ざわめき始めた。
 光から風へ、風から波へ伝えられた、
 生命の連動を感じながら、
 水平線から寄せられる、
 波の言葉だけに耳を傾けた。
  撮影を終えると、
 感覚を忘れるほど冷たかった足先に
 やっと意識が届き、そっと足踏みをしてみた。
 かじかんだ手にも息を吹きかけ、
 指を一本ずつほどき、
 ほっと手のひらを見る。
 いつの間にか日は随分と高く昇り、
 銀盤は眩しいくらいに煌めいている。
  自分の白い息に包まれながら
 海岸を歩くと、少年の頃、初雪を見て、
 はしゃいでいるもう一人の自分の姿を
 そこに見出した。
  何もかもが新鮮だったあの頃・・・。
 忘れかけていた何かが、
 もう一度呼び戻されたひと時だった。
 嬉しくて、寂しくて、涙がこぼれる。
 どうやら私の中に閉じ込められていた
 遠い感情が解かれていったようだ。
  人は、いつも、その時その時の光を
 捜し求める旅人なのかもしれない。
 解けゆく雪と共に、
 少し早い春の匂いが、空の高みから風に乗って
 ふっと私の前を過ぎ、
 もう一度空へと舞って行った。
 

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桐野伴秋の世界  一日写真展 御礼

 

   桐野伴秋1日作品展、新春の集い

  おかげさまで無事終了いたしました。

   朝早くから夜おそくまで

   桐野伴秋の世界に浸ってくださいました皆様に

   心より感謝申し上げます。

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高知新聞連載1月8日(地球・美の幻風景)~記憶の再生~水平線のその先に

 

  今年最初の地球・美の幻風景は

  私の代表作の一つでもある

  「記憶の再生」です

  偶然に出会えた、この風景に私は魅了され、

  写真の不思議さ、面白さを知ったのも この頃です。

Photo

 

 

 

 

 ~記憶の再生~ 

 

 

        水平線のその先に

 

 

 

海は波に揺られながらゆっくりと表情を変える。

夜明けから日の出までの僅かな時間、

とどまることなく太陽の光りに押し上げられて、

波はざわつき、染められていく。

新しい命が宿るかのように、

朝を迎えるたびに繰り返されるこの儀式は

見る人の心をいつも新鮮にする。

 

カメラに携わり20年余り。

この年月の中で、

私自身が代表作と呼ぶ作品が何点かある。

 

それはその作品が特に優れているとか

景色が素晴らしいとかではなく、

私をいつも原点に立たせてくれて、

でこぼこした気持ちを

平らにしてくれる作品である。

 

驕ることなく、卑下することも無く

リセットされた自分に向き合える、

今の自分の姿を鏡のように映してくれる。

「記憶の再生」と名付けた今回の作品も

私にとってそんな一枚だ。

 

水平線のその先に、

脳裏にはもう一つの景色が甦る。

船の上・・・。

私には珍しく海上からの夜明けだ。

 

甲板を吹き抜ける強い風と

明け方の冷たい気温の中、

一定のリズムを保ちながら

 

揺れる波の深淵を覗きこむと、水で溶いた絵の具のように

様々な記憶が流れだす。

水平線から押し寄せる厖大な波の数を

押し返すように

私はゆっくりと何度もシャッターを押し続けた。

 

やがて太陽が海を染めながら

一日の始まりを告げる。

もう一度海の中の小さな自分を確認し、

波の向こうの波、

空の向こうの空に続く未来は

何処からやってくるのだろうと、

 

想いを巡らせる。

 美しく重ねられた記録は

 記憶となってこの一瞬は

 永遠にとどまる。

 

新しい年を迎えるたびに

「初心に帰る」と言う言葉を立て直す。

新たな出発と飛躍を臨む程に

背筋を張って広がりを

感じなければならない。

 

昨年もたくさんのご縁に支えられ、

歩めた一年だったと言っても過言ではない。

人が苦手だった若い頃。

それが信じられないくらい、

今は人と人との繋がりの

ありがたさが身に染みる。

 

無数の点が大きな道筋となって、

多くの人に助けられた。

その横の繋がりを確かなものに

結んでくれたのは、

縦を結ぶ宇宙ともいえる大きな存在かもしれない。

 

 

 

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2014年 明けまして、おめでとうございます。

2014


2014年 明けまして、おめでとうございます。
  旧年中は多くの皆さまに支えられた実り多い、ありがたい年でした。
  本年も、どうぞよろしくお願いいたします。<(_ _)>

新春、城西館にて作品展をさせて頂きます。
  新作をはじめ、代表
  作も展示いたしますので是非ともお越しいただければと思います。
新春 一日作品展のご案内

  桐野伴秋の世界     2014・永遠(とわ)の詩

  新春にふさわしく
新作をはじめ、代表作を展示いたします。

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