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高知新聞連載 (地球・美の幻風景)12月4日 地球影~彼方へと輝く光~    

 雪の積もった瓶ヶ森で見つけた新たな地球の姿。

  あまりにも美しいその姿に私は立ち尽くし、

  感謝の気持ちでいっぱいになりました。

    Photo

 

地球影 ~彼方へと輝く光~

瓶ケ森に初雪が降った数日後、私はその地に立っていた。

高知市内を早朝3時ごろに出発。山間部へ入るにつれて、

気温はどんどん下がる。

 

この日の天気予報は快晴!

しかし山の天気は行ってみないとわからない。

 

途中、辺りは霧に包まれ、期待と不安が交差する。

除雪されたばかりの道を慎重に急いだ。

 

当初の目的地にたどり着いた私だが、何かを予感し、

思い切って賭けに出ることにした。

もし山頂近くが晴れていたら下界には雲海、

そしてこぼれんばかりの満天の星が見えるだろう。

 

標高が高くなるにつれて、車窓から見える景色に目が離せなくなる。

私は我慢できずに窓を開けた。

一瞬に雪の冷気が車中を一周し、ぶるっと震えがきた、

が、それ以上に私の胸に熱いものが込み上げてきた。

何という光景だろう。石鎚山を取り巻く雲海を目の前に、

居てもたってもいられず、車を飛び下りた。

 

静寂な白銀の世界に風が吹き、

雲がものすごいスピードで走る。

その姿は天から降りてきた龍のように霊峰を取り巻き、

下界へと流れて行く。

まるで、全身が波打つ自然界の深い呼吸のようだ。

 

闇から光へ移行するはざまの時間に、

自然は人間の想像を遥かに超える奇跡を見せてくれる。

 

 凍てつくような雪景色の中で私はカメラを備え、

 じっととその姿と向き合った。

 

美しい迷宮に足を踏み入れてしまったような幻想の世界

いったい、ここは何処なのだろう。

 

宇宙に広がった崇高なグラデーションにすっぽりと包まれ、

やがて薄紫にたなびく帯状の雲を境に空は濃淡に分かれてきた。

下に濃く描き出されたものが地球の影、(地球影・ビーナスベルト)だ。

もうすぐ登る太陽の光に反射し、

今まさに地球が新しく生まれ変わろうとする瞬間である。

 

私はこの時ほど地球にいて宇宙を身近に感じた事はない。

心の奥から込み上げてくる感動と溢れる涙を

抑える事が出来なかった。

 

やがて太陽が顔を出し、あたりは黄金色に煌き始めた。

冬の厳しい寒さの中、次の季節へと準備に入る木々。

逆らわず、ありのままで立ち尽くす。

研ぎ澄まされたその姿にゆっくりと雪は積る。

やがて雪の優しい重力を感じながら冬山は静かに眠るのか・・・。

 

自然は、それぞれの時代に果てない普遍のメッセージを

我々に語ってくれている。

 

 ここには、境界線という言葉はなく、

 あらゆる創造の営みが存在している。

 

 私はもう一度、朝の光に満ちた天を仰ぎ、大きく息を吸った。

 

 この地球の鼓動に感謝をこめて・・・。

  


 

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