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2012年12月

高知新聞連載11月7日(地球・美の幻風景)       ~秋彩の小宇宙~

Photo                  ~セドナ・秋彩の小宇宙~

この時季 観光客に最も人気のスポットに

ウエストフォークといわれる森がある

米国セドナの街の中心から北に車で約15分の所に入口があり

「浄化の川」と呼ばれるオーククリークの上流にあたる

そこは歩きやすいトレッキングコースになっていて

誰もがセドナの紅葉を満喫できる 

私は 撮影機材を背負い 小川のせせらぎと野鳥のさえずりの中

見上げるほどに高い赤松の林を 

吸い込まれるように森の中へと歩いて行った

体中 森の大気に包まれて進んでいくと 

わが身も秋の気配に染まっていくようだ

ウエストフォークは秋が深まるとメープルやナナカマドの樹は

秋の空を覆うように紅葉し 

森の営みを柔らかく深いサイクルに導いてくれる
 

アスペン・トゥリーという節が眼のようなおもしろい木もある

(インデアン達はこの木をスピリットの目)と呼んでいる

渓流から流れ込んだ小川が湿った土を育て 

足元からはキノコたちが顔を出す

幼い頃 絵本で見た こびとや妖精が出てくる森は

本当に存在したのだ・・・といまさらのように

気持ちが子供のころに跳んでいく

しばらく歩いたところで腰を降ろし休憩した

目の前には、赤い岩の間から水がしみだしている。

寝っころがり土の匂いを嗅ぎながら 空を見上げると 

彼方から射し込む光にすべてが美しく輝いていた

この小宇宙を表現したく 

私は魚眼レンズを取り出して、この気配と共に撮影をした

私は深く森の時間に抱かれて 深呼吸した

ジュニバーやサイプレスのハーブの香りが

アロマとなって私を内側から癒してくれる

秋の訪れは目から耳から 

まるで水を得たかのように浸透していくようだ

赤い岩山に囲まれた大地と背中合わせに

こんなに潤った森が存在するなんて誰が想像できただろう

地下にたたえられた豊富な水が

一気にこの地に湧き出できたのだろうか

砂漠の中のオアシスが作り出す秋の情景は

次への季節に備えた地球そのものの美の伝達なのかもしれない

森を抜け終えた時 

私はあまりにもたくさんの会話をしてきたと錯覚をした

声を出したわけではなく 相手がいたわけでもない

ただただ ひたすらにカメラを持って撮影をしていただけなのだが

この満足感はなんだろう

森の中の気配すべてが語りかけ

私の思いに応えてくれたのかもしれない

解放感と充実感で満たされて 

私はこの世に生を受けたことを不思議なほど素直に感謝した

この大地に生きるすべての生命とともに・・・

                   

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