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2012年8月

高知新聞連載8月29日(地球・美の幻風景)~水辺の星~

Photo                  ~水辺の星~

睡蓮には 昔から様々な言い伝えがあり 人々に愛されてきた

 例えば 古代エジプトでは「ナイルの花嫁」

ドイツでは「水の妖精の化身」 

また ネイティブアメリカンの間では 古くから「星の化身」と

語り継がれた物語がある

 睡蓮には 霊的な再生の手助けをする力があり 

より高い光の周波数を吸収し 

拡大無辺の見えない世界の経路を開くと

あるシャーマンは言っている

長い間 泥の中でじっと時を待ち 

やがて暖かい季節がやって来ると

スルスルっと水面に顔を出し光合成を始める

 ここ北川村にあるモネの庭は 

本場フランスのジベルニーも認める素晴らしい所だ

 睡蓮が開花するのは朝 

夜露をため込んだ花びらに朝日があたると

はじけるように開き始める

光や風を吸い込んで花々は水の上で微笑んでくれる

 印象派を代表するクロード・モネはそんな睡蓮をこよなく愛した

光は 水面に反射し より輝きを増した睡蓮は可憐で美しい

そして モネは睡蓮の花を何枚も何枚も描き続けた

モネによって描かれた睡蓮は今も人々に愛され

印象派の画家として確立していった彼の姿を

この花は反映しているようだ

 私は その年 幾度となく朝一番の庭を訪れた

太鼓橋より少し離れ 水の庭の端の方に三脚を構える

 やわらかにそよぐ柳の間から水面を見渡すと

夏の情景が心地よく身体を包む

やがて辺りの色彩が変わり光が水面を撫で始めた

金色の時間がやってきたのだ

 太陽が姿を現した瞬間 金色の持つ魔力に私は虜になっていた

光は光を反射し 鏡に照らし出されたかのように輝きを増す

光と水が織りなす神々しいまでの造形美だ

 天体の色彩ともいわれてきた金色

太陽・月・星・燦然とした輝きを

人々は神秘と高貴な力と讃え特別な存在と崇めてきた

 舞い降りてきた金の光が 泥の中にまかれた一粒の種から

浄化 再生 復活と言う技を成し遂げる睡蓮と相まって

ほんのひと時見せる崇拝したくなるほどの

美しい情景を見つめながら私はシャッターを切った

 今まで意識しなかった蝉の声が急に耳に入ってきて

季節の協奏曲の中 まるで私はモネの絵の中に

溶け込んでしまったかのような錯覚に陥った

この情景こそが 印象派の画家たちが追い求めていた

光と水の織りなす永遠の移ろいなのかもしれない

 

 人の気配が無いモネの庭は静寂に包まれ

夏草を揺らすかすかな風に 次の季節の到来を感じていた

                       禁無断複写・複製・転写

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高知新聞連載8月15日(地球・美の幻風景)~新世紀~

Photo                  ~新世紀~

せみ時雨の中 今年も終戦記念日を迎えた

67年前 日本国が決断した戦争終結の上に

今の我々は生きていると言っても過言ではないだろう

あの 広島 長崎の悲惨な体験を切々と心に刻みつつ

歩んできたはずの日本 

平和宣言を訴え続けながらも昨年3月11日

原子力発電の大惨事を引き起こしてしまったこの国に

真の平和が訪れるのはいつだろうかと思う

今もなお 傷痕が癒えることの無い思いを風化させまいと

原爆ドームはひたすら そこにあり続けているようだ

南イタリアに位置する マテーラも

人々の争いの傷痕を深く残している町だ

歴史はローマ帝国の崩壊にはじまる

キリスト教の信者がイスラム教勢力に追いやられ

東ヨーロッパから逃げ込み 

隠れるように洞窟で生活をはじめたのだった

マテーラには洞窟の中に今でも教会が150ほどあるという

岩山はサッシと呼ばれ 斜面に沿って洞窟が施されている

石灰岩でできているため形成しやすく 

人々は生活に合わせ削りながら 住居を形作って行った

最初は修道士たちが住み始めたのだが 

そのうち群衆も住み始めた

今では洞窟に350世帯ほどもあり 

ホテル レストラン スポーツジムまで建設されている

1993年には世界遺産に登録され 

世界の観光地としても注目を浴びている

人が定住し始めた8世紀頃は電気もなく水道もない

想像を絶するような過酷な生活を強いられていた

そんな中人々は 限られた条件の中で知恵をしぼり

シンプルかつ合理的な生活をしていた

例えば 30畳ほどの室内で、冬は馬を飼い

馬の体温を暖房代わりにしていたという

何でも手に入る今の私達にとってあたり前のことが 

あたり前ではない生活 

私は 街を散策しながら いろんな事を考えさせられた

この街は 一体何を伝えようとしているのだろう

今では洞窟生活を楽しむような人々の明るい声が聞こえて来る

私は 街全体を見渡せる広場に上がり 撮影の準備をはじめた

高くそびえた立つ教会の塔をポイントにして 三脚を構え 

太陽が街のギリギリのところまで降りて来るのを待つことにした

空を見上げると雲の流れが怪しく 空を覆い始めた

もしやと 私は何かを予感し心がざわめいた

その時 雲の切れ間から太陽が顔を出し 

サッシの斜面が射し込む光にくっきりと映し出された

それは まるで私に 移住が始まる以前の

旧石器時代のマテーラの姿を一瞬見せてくれたようだった

太陽の光がゆっくりと退いていく

そこには私達人類に 

新しい時代の幕開けを感じさせる姿があった

                      禁無断複写・複製・転写

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桐野伴秋の後援会「Soraの会」を発足して頂きました。

写真を撮り始めて20年。皆さまのおかげ様で、撮り続けることが出来ました。そして、こんな会を発足して頂きました。感謝の念にたえません。ありがとうございます。この会を通じまして、皆さまとのご縁がどんどん広がれば・・・と願っております。どうぞよろしくお願い致します
                                                                                                       
Ora_2
                                      高知県知事もご入会頂きました
                                                                                                                                                                                                     
桐野伴秋Soraの会   ←こちらをクリックしてください
全国からの『桐野さんのファンクラブを作って欲しい!』の声にお応えし、地元高知から彼の活動を応援し、サポートしてゆくための『桐野伴秋Soraの会』がいよいよスタートしました。 『Soraの会』にはきちんとした規約があり、会費によって運営されます。 もちろん会員の方にはさまざまな特典が盛りだくさんです。

                                             

                                                 

       ~『桐野伴秋Soraの会』入会案内~

当会では、一般会員を募集しています。

入会をご希望の方は以下の規約と入会特典をご確認のうえ、

お申し込みください。

【規約】

第1条(目的)
1.本会は、写真作家 桐野伴秋の活動を応援し、サポートしていくことを目的とする。
2.本会は、会員相互の親睦を深め、文化交流に寄与する。

第2条(名称)
 本会は“桐野伴秋Soraの会”と称する。

第3条(所在地)
 本会の事務局を、高知県高知市入明町に置く。

第4条(役員)
 本会は、名誉会長、会長、副会長、事務局長、会計、委員を別途定めるものとする。

第5条(一般会員)
 本会所定の入会申込手続きの上、第6条に定める入会金及び年会費を納める者を、本会の一般会員とする。

第6条(入会金・年会費)
1.会計年度は7月1日より6月30日とする。
2.入会金は 2,000円とし、入会申し込み時に支払うものとする。
3.年会費は 3,000円とし、年に1回支払うものとする。

第7条(退会)
 会員は、事務局への申し出により、本会を退会することができる。但し、退会時の返金はないものとする。

第8条(規約改正)
 本規約は、名誉会長、会長、副会長、事務局長、会計、委員の承諾をもって改正することができる。

第9条(設立年月日)
 本会の設立年月日は平成24年6月20日とする。

第10条(規約施行日)
 本会則は平成24年7月1日より施行する。

【入会特典】

・オリジナル会員証(毎年7月発行/2012年度版は「宇宙の扉」)

・新規ご入会時「オリジナルポストカード5枚セット」プレゼント

・作品、オリジナルグッズの会員割引(※Soraの会よりの購入に限る)

・最新情報のご案内(年複数回郵送)

・会員限定イベントの参加権利

※上記特典内容は一例です。内容については予告なく変更となる場合があります。

お申し込みをご希望の方は、入会申込書を郵送させていただきますので

『お名前・ご住所・電話番号・必要部数』をご記入のうえお申込みくださいますようお願い申し上げます。

<お申込みご連絡先>

FAX  088-821-9625

郵便  〒780-0041 高知県高知市入明町13-20 桐野伴秋Soraの会 西原方

E-mail   soranokai@kirinotomoaki.com

                    ご入会お待ち申し上げております。

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高知新聞連載8月1日(地球・美の幻風景)                                      ~その光の先へ~

Photo_2                   ~その光の先へ~

ここは 現実でも非現実でもなく 何だか無意識の世界

米国アリゾナ州 ページ近郊のナバホ族の土地に位置する渓谷

アッパーアンテロープキャニオン

ナバホ砂岩と呼ばれる砂岩は 鉄砲水や風に削られ 

気の遠くなるような時を刻む 

それは 今も尚とどまることなく

未来へと道筋を形成していくようである  まるで生き物のように

私は ナバホ族のガイドと共にジープに乗り 

入口まで案内して貰った 

大きな裂け目の入り口に入ると 一瞬 暗闇になった

ひんやりとした風が静かに奥から流れてくるのを感じた

足跡を刻みながら 少しずつ歩きだすと 

だんだん暗さに目が慣れてきた 

私は ゆるやかなカーブの先に腰をおろし 撮影の準備に入った

そこは 隙間から差し込んでくる光が 

とても明るく眩しいくらいの所だった

一体 その光の先には何があるのだろう・・・

見慣れたはずの太陽の光は神々しく 光の梯子を昇っていけば

そのまま天国へ繋がっているのではないかと

震えるような不思議な感動をおぼえた

我々は奇跡の星 地球に生まれ闇の中より存在し光と遭遇する

いのち(生命)は光に彩られ呼吸を始める・・・

この色彩こそが創造的エネルギーとなり

音無き世界の旋律を奏でる心の言葉なのかもしれない

人は 三原色を基準に識別するが 

モンシロチョウは紫外線をも色として感じることができるという

しかし 人類に与えられた想像力は モンシロチョウを遥かに超え

いや それ以上に深い色彩を感じ 

見えない物の存在をより実感しているのではないかと思う

遠く宇宙から降りてきたひかり(太陽)は心の深淵で響き合い 

未知なる世界へ私を連れて行ってくれる

大自然をファインダーに写し込む時

静かに 自分の存在を通して沢山の奇跡を見せてくれるのだろう

レンズが拾ったその世界は 何処までも無限の色彩を見せる

ふと 遠いどこかで舞う蝶の羽音が私の耳の横をよぎった

余韻の中で 私は 砂の海を歩き 歴史の彫刻をなぞって行った

 体中が 光のベールに包まれ 

    柔らかで 暖かな押し寄せる幸福感を

          私はいつまでもかみしめていた

                        禁無断複写・複製・転写

       

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