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2011年12月

高知新聞連載12月28日(地球・美の幻風景)~赤富士~

Photo_3               ~心に深く「吉」の兆し~

今年も残すところあと数日となった

想像を絶するような東日本大震災の傷跡は今も尚深いまま

激動の一年は次の年へ 引き継がれようとしている

この年 私は二つの美術館で 

作品展を開催する機会を持たせていただいた

その中で写真家として 多くの方と出会い

日本中が包まれた悲しみを共に感じ 祈り 

より強い繋がりを感じることができたことに感謝したい

香美市立美術館においては 7千人近い人々が訪れて下さり

中には何度も何度も足を運んでくださった方もあった

作品を通して 皆さんと心を通わせる事が出来たことは

私にとってかけがえのない宝物になった

地元の方たちの温かさを 肌で感じつくづくありがたいと思った

あらためて皆様に心からのお礼を申し上げたい

また 清里にある 清春の美術館では

高知を離れての作品展であったが

出会いのひとつひとつにドラマがあり 学び多い感謝の日々だった

その土地ならではの撮影スポットも教えていただき 

行動範囲も広くなった 

山梨県側から撮影した 今回の富士山もその一つだ

海外取材から帰国の際 

日本の上空にさし掛かると飛行機の中から

夕映えに包まれた真っ赤な富士山に出会ったことがある

雲海の中に幻のように浮かぶ 赤く染まる富士山に迎えられ

心から 日本人でよかったと思ったものだ

そんな体験をした人は私だけではないだろう

機会あらば富士山を撮影してきた私だが

今回のこの富士との出逢いは格別に感動的な一瞬だった

東雲の頃 前日に降った雨の水蒸気を含んだ空気の中

徐々に夜が明けていく

薄暗闇にシルエットのように映し出された大きな富士山

油断ならない待ち時間だ 三脚の前に立ち 

実風景とカメラを交互にのぞきながら 太陽の光を予感する

・・・とその時!

まだ 昇らぬ太陽の光が

染みわたるように富士山は色を変えてきた

私は もしやこれは・・・!と 昇りくる太陽を気にしながら 

急いでカメラのレンズを広角から、望遠に変えた

移りゆく空や雲ではなく

富士山そのものに私は震えるものを感じたのだ

太陽が顔を出す寸前 富士山は真っ赤に染まり 

奇跡の姿を現してくれたのだ 山吹色の空を背景に・・・

赤富士━

いにしえの時代から日本人の心に深く刻み込まれた姿だ

見ることができたなら「吉」の兆し とても縁起がよいとされる

時代を超えてなお引き継がれるこの奇跡の「赤」は

人々に幸福の想いを抱かせてくれる

北斎の絵でも有名な赤い富士山だが実際目の前に現れると

神秘的なその姿は神々しく 

ひれ伏さんばかりの威厳を漂わせてる

言葉を失い 朝の張りつめた空気の中 

シャッター音だけがこだまする

一年の締めくくりにもう一度 

私はこの赤富士の写真をしみじみと眺めた

あらたまの年に向け 決意と決心を そして希望と勇気を・・・

赤富士は どっしりと私の中にそびえたっている

今年出会った美しい風景に 私自身 大きな力と感動をもらった

2012年 残された風景が 

人々の心に奇跡の光となって輝き続ける事を願ってやまない

                

                   感動を感謝にかえて・・・ 

                          禁無断複写・複製・転写 

                          

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高知新聞連載12月14日(地球・美の幻風景)          ~聖なる祈り~

Photo_3                    ~聖なる祈り~

米アリゾナ州セドナの街のはずれに

まるで 赤い岩山の一部のように建てられた聖堂

(チャペル・オブ・ホーリークロス)がある。

彫刻家マーガレット・ストードの想いによって

1956年に完成した聖堂だ

彼女は人々が芸術を通して神を見いだし

ゴシック精神と現在のスピリットが融合され

人種や宗教を超えた祈りの場を作りたいと

かねがね願っていた 

そして世界中を探し求め 

ついにセドナの地にたどり着いたのだった

ある日ヘリコプターで上空より 

自然に削られた聖母マリアが子どもを抱いて

立っている岩山の姿を見た 

その時 聖堂を建てるのはこの場所だと強く確信したのだった
 

州当局 教会関係者など 数々の難題交渉を経て1955年着工

マーガレットは 有名な建築家 

フランク・ロイド・ライトの生徒でもあった

大地に根付いたシンプルでかつモダンな仕上がりだ

聖母マリアに見守られるように建てられた

その崇高な姿に訪れた人々は 静かな感動をおぼえる
 

入り口付近 我々を迎えてくれたキリスト像が 

マーガレット自らが彫刻したものであると知り

思いはより深いところにひろがっていくようだ

ここを訪れた多くの人々は言葉を自分の内側に深く沈め

ただただ祈りを捧げる

形式もなく儀式もなく湧き上がる想いを受け入れながら

身体中が解き放たれていくのだろうか

静かで穏やかに気持ちになっていく

ガラスの向こうから入ってくる光は果たして神なのか

自分の魂なのか 突然純粋なものに触れ 

素直な気持ちになり 涙が自然とあふれてくる・・・

チャペル内に祈りと共に灯された赤いキャンドルの炎が

時折響く グレゴリア・チャントのメロディに揺れ 

意識がだんだんと透明になっていくのを感じた
 

そんな空間に佇んでいると 

私は時々カメラを手にしている事を忘れてしまっていることがある

日が落ちても尚 闇の中に照らし出された十字架は

人々の祈りを宙(そら)へと届けているのだろうか・・・

振り向くようにレンズに収めた聖堂は 

一瞬光の虹に包まれ 高貴で暖かく希望の姿を見せてくれた

そして聖堂を後にしながら 今更のように

ここを訪れる事が出来たことを心の底から感謝した

12月も中旬ともなるとあちらこちらで

クリスマスイルミネーションが冬の街に彩りを添え

電飾の光に心を弾ませる

聖夜を迎える日 讃美歌の歌声や 

祈りの言葉が世界中を駆け巡る

祈りが世界を変える・・・

祈りは長い間 宗教の世界の事と考えられていた

しかし 今 「祈り」の研究が先進諸国で盛んにされているそうだ

祈りが精神の安定だけでなく 身体的にも良い影響を与え 

病気などにも効果的に働くとも伝えられている

インデアンの長老が言った言葉がある  

             ~祈りとはまず感謝からはじまる~

世界中で祈りが捧げられるこの日には

    きっと感謝と希望の想いが地球上に溢れ

        大きな愛のエネルギーで満たされことだろう

                         禁無断複写・複製・転写 

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